融資が正式に決定するまでは、設計や工事を進めなてはいけない

「店舗出店は、まずは物件を決るもの!物件決めたら、すぐに店舗を作る!」
こう考えてしまう開業者さんは多いもの。これは大変危険な行動といえます。

まずほとんどの出店事例は日本政策金融公庫や銀行融資での資金調達を必要とします。
しかし、この融資審査の結果が出るまで非常に時間かかります。

融資機関の審査は非常に時間がかかる

日本政策金融公庫なら約一ヶ月、銀行融資なら二ヶ月以上かかることもあります。

「融資の審査結果を待たずに設計や工事を進めてしまおう。」これも非常に危険な考え方です。
「融資前に工事を先行して着手、ところが融資が失敗してしまった」これは最悪の事例となります。

融資に失敗し、やむなく計画を中断したとしても、すでに工事を進めていたら、途中まで作りかけた部分を再び元の状態に戻すための解体費、現状復旧の費用が多額に支払うことになります。これは最悪の場合、百万円単位の高額費用の出費となります。

融資結果を待たずに先走って工事に着手し、もしも審査が通らなかったら計画遂行はおろか、大事に貯めてきた自己資金をもすべて失うことにもなりかねません。

融資が確定前に、決して設計や工事に着手していけません。

店舗の「デザイン」と「設計」は異なるもの

「デザイン」とは?

イメージ、雰囲気、路線、世界観を表すもの。例えば、エスニック風、北欧風、南国風、都会的、田舎的、王朝スタイル、エレガントなど・・・非常に曖昧なものであり、感覚の部分です。このようなイメージだけでは、「何を、何個用意する必要があるか?」といった実際の工事金額を導き出す具体的な数値基準が不明確なため工事見積を作成することは不可能です。


「設計」とは?

曖昧なデザインを実現化させるための具体的な方法、手段などを明確に定める作業といえます。
例えば、海沿いのサーフショップのような雰囲気(デザイン)の店を作るため・・・
「古木材を玄関に約24㎡貼る。店内の壁には古焼レンガタイルを51㎡貼る。」このように特定の素材選定と正確な物量決定をして図面に表していくのが設計です。曖昧なデザインを具体的な材料選定しながら詳細に数値化、図面化し、工事会社に渡され、積算(見積作成)という段階に進みます。

「デザイン」はイメージ設定、「設計」は数値化作業

したがって、デザインと設計は業務の質は異なっても一対のセットとなります。デザインだけでは工事費用を導き出せませんし、設計は目指すイメージが明確に定まっていなければ先に進められないということです。

そのため、店舗デザイン設計者は、デザイン(発想)と設計(数値化作業)の両面に精通していなければ務まりません。

「店舗デザイン設計者」の本当の役割

店舗デザイン設計者(以下デザイナーと略称)の役割は、単に素敵な店の案を考え、絵や図面を描く人だと思割れがちですが、厳密にはもっと重要な役割があります。もちろん、開業者さんの思い描く店舗イメージを実現する設計図を描くのもデザイナーの仕事なのですがです。

店舗工事について素人の開業者さんの代理人ように働いてもらうべき人物です。いずれ設計図面に沿って提示された工事見積書式に対し、果たしてそれが高いかの? 安いのか?床や壁にリクエストした素材の物量が本当に正しく計算されて積算されているのか?まず開業者さんには、これらの専門的な判断で見抜くことは不可能です。設計~工事段階において飛び交う専門用語の数々は間違いなく解読不可能なはずです。

こうした用語の通訳はもちろん、工事見積の各項目の適正など、、開業者さんの代わりに細かくチェックするのがデザイナーの役目なのです。

また、実際に工事が始まれば、きちんと設計どおりに現場が進行しているのかのチェックを含め正しく完成までを導くのもデザイナーの仕事です。

デザイナー(設計者)は開業者の代理人として雇う!

もしも工事業社が素人である開業者さんに、やたらと高額な見積を提示しても、開業者さんその判断基準が無いため「そういうものだろう」と安易に判断し、そのまま契約に進みがちです。

工事業者より先にデザイナーを任命していれば、その人物が開業者さんの代わりに見積項目の適正も含めシビアに見抜いてくれることになります。不要に盛られた要素はもちろんですが、逆に不足している要素、手抜きになりがちな危険箇所なども判断してもらいましょう。

開業事例に非常にありがちなトラブルである、開業後の理解不能な追加工事等が発生しないように厳しく取り締まってもらう。それがデザイナーの真の役割です。

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