お店ができたら、すぐにオープンできる?

店舗工事が終了した段階から2日後ぐらいにオープンするお店をよくみかけませんか?

私の経験から考えると、店舗工事終了時、すなわち工事引渡し後に開業の準備に関してはそんなに短い期間では到底足りないと思うんですけどね~。

お店さえ完成すれば、あとは即オープンして、1日も早く売上を上げたいと思う気持ちはわかりますが、このスタート時点のつまずきは、後々非常に問題が多い。

まず、店舗工事が終了すると、業種によっては、その直後に保健所の検査や消防署の検査が入ります。
また、それらの検査が滞り無く済めばいいんですが、改善の指導が出たりすれば、なんらかの改善措置をしなければなりません。
検査に合格しなければ、営業許可が下りないため、営業を開始することはできません。
仮に再検査になれば、直前でオープンを延ばすしかなくなることもしばしば。
また、保健所や消防の検査だけではなく、店舗工事終了後であっても、店舗工事の是正箇所や、修正箇所がゼロということは極めて稀なんです。
なんらかの細かい補修工事や微調整工事が引き続きオープンまでの間に行なわれるもの。
これも、事前に想定しておかないと、開業準備の障害となってしまいます。

なにより、開業者さんにとって工事完了時からオープンまでの間にどれだけやるべき事があるのかを知っておく必要があります。

そもそも工事が完了した段階のお店は、「完成したお店」ではありません。いわば「空っぽの状態」。

その空っぽの店舗に、薬剤、備品、店販品などを陳列する必要があります。また、各種家電も設置していく必要があります。
バックヤードに、冷蔵庫、洗濯機の設置。
カウンター周りにはBGM機器、電話機の設置、PCのセットアップ、カード決済用の端末の設置。
組み立て家具などを購入しているのであれば、それを組み立てて設置する時間も必要。
ウエイティング用の雑誌や書籍、ドリンク、食器などの購入も必要なはず。
それ以外にも設置した機器の試運転。施術の練習。接客導線の確認や練習。
もちろん、オープンを間近にしてチラシのポスティングやネット上での広報活動なども、この期間で一気に拡散させていかなきゃ。
場合によっては、オープン前に招待客を受付して対応する開業者さんもいますよね。
そして、今後のネット戦略、チラシ戦略用に、完成した店舗の写真撮影もこの期間の間に用意しなければいけません。
特に写真撮影に関しては、すべての陳列が済み、ほぼ開業直前の状態まで整ってからの撮影が必要です。
「空っぽの状態の店舗」での写真では非常に味気ないし、お店の魅力がわかりませんよね?

いかがでしょう?

これらすべての仕事に、開業者さんが想像していた以上に時間と労力が必要となります。
お店ができてから、2日くらいで、この作業できると思います?
お店ができれば、すぐにオープンできるという考えは、非常に危険なことがわかりますね。

工事完成からオープンまで、最低でも1週間、いや10日の時間を確保すべきです。
bhでは、必ず10日間の開業準備期間を取るスケジュールを組んできました。
わずか3日の違いですが、この3日で多大なる余裕と精神の安定がもたらされます。
私が、実際に数多くの開業に立ち会ってきた経験から、開業から1週間あればなんとか準備を整えることができるもの。
しかし、開業オーナーさんを見ている限り、実際は1週間ではギリギリです。
1週間という期間では開業者さんの負荷が大き過ぎてしまいます。

余裕がないスケジュールで開業準備をしていれば、
開業直前に疲れ果てている
なんかソワソワしている。
落ち着きがない。
イライラしている。
なんて状態で開業の日を迎えてしまいます。

準備はすべて整った。後はオープンを待つばかり。
早くオープンしたい!早くお客さんを喜ばせたい。

開業2日前頃に、このような心境でいられれば、万事OK。
晴れてオープンを迎えたら、新規客と沢山出会うでしょう。
このスタート段階において、
主役の開業者が魅力的でいられるか?
テンパっている状態か?
ここでこの先長年のお店の運命が決まると行っても過言ではありません。
初めて出会うお客さんの前で魅力的な自分でいられるかが、リピーターを生み出す鍵となるのです。

1日、2日のオープンを急ぐより、十分な準備ができる時間の確保は非常に重要です。
気持ちの余裕を持ち、テンションをしっかり整え、満を持しての開業しなければ、開業直後の不安定な時期を乗り越えることはできないでしょう。

bh 飯島由敬・著書ご紹介

bh飯島由敬への『お店づくりサポート』ご依頼・ご相談

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA